プーチンに核抑止の理論はもう通じないと思うのだが

先日、ウクライナ侵攻中であるロシアのプーチン大統領が核抑止部隊に特別警戒命令とかいうのを出したとかニュースがあった。

簡単に言えば「いつでも核兵器使えるようにしておくぜ」みたいな命令である。

 

このニュースを聞いた安倍元首相の「日本にも核武装(核共有)の議論を」という核抑止を意図する発言がちょっとだけトレンド入りしてた。現首相の岸田総理は核の議論は認められないということで安倍ちゃんの発言内容を拒絶していたが。

 

私個人としては、まだ核共有の議論はしなくてもギリギリ良いと思いつつ、しかし現状見るとその必要性が出てくるのも時間の問題に思っている。

 

ただそれ以上に一つの不安があり、日本の核武装議論よりもすごく心配していることがある。

 

「もうプーチンに核抑止の理論は通じないのではないか?」

 

その可能性が最も高いと私は考えている。

核抑止の理論が通じないのはつまり「核武装をしてもなんの威嚇にもならず、攻撃される」という意味だ。

 

今回は私の分野からは大きく外れるが、私がこう考える経緯を核抑止の基本理論、そしてプーチンの精神状態の想像から記述していきたい。

今回は早くに公開したかったので、内容がかなり雑でもひとまず投稿することにした。

時間があるときに内容をわかりやすく随時修正していくつもりである。

 

目次

 

核抑止ってなんぞ?

私と同年代の人はメタルギアソリッドとかのゲームで核抑止のことをよく知っていると思う。

ただ核抑止を知らない人も多いと思うので、私のゲーム知識からで申し訳ないが、核抑止の基本理論の説明から入っていきたい。

 

核抑止は「お互いに核兵器保有することで自分も敵も核への恐怖で縛り付けて武力衝突を回避する」という考え方だ。

文で見るとなんのこっちゃと思うかもしれないが、実はものすごく単純な理論である。

 

分かりやすく例え話をしてみよう、今、自分は拳銃を持っている。その拳銃はとてつもない破壊力を待っていて、体のどこにでも一発でも当たれば全身を粉々に吹き飛ばす威力がある最強の拳銃だとしよう。

最強の拳銃を持っている自分は無敵だ。誰も自分には逆らえない。少しでも気に入らないことがあれば最強の拳銃で脅せばみんな命欲しさに従うからだ。

だが、自分が嫌いな人物、自分にとって敵となるような人物がいて、そいつも同じ最強の拳銃を持っているとしたらどうだろうか?

自分はそいつに向かって最強の拳銃を撃つ勇気はあるだろうか?

自分が拳銃を撃ったら相手も撃ってくるだろう。相手の全身を粉々に吹き飛ばして殺すことが出来るが、同時に自分の身体も粉々に吹き飛ばされて殺されることになる可能性が高い。

だがそれは相手にとっても同じことだ。相手も拳銃を撃てば自分が撃たれかねないと考える。

そうなると、そう簡単に最強の拳銃を使うことができなくなり、「ムカつくけど、死にたくないからなんとか話し合いで決めようぜ」となるのである。

 

どうだろう、両者とも最強の武器を持っているが、結果としてそれは使えず、話し合いの場を設けるきっかけ作りになっている。

 

これが核抑止の考え方だ。

例え話の中で最強の拳銃の役割を果たすのが核兵器である。

こっちが核兵器を使ったら相手も使うかもしれない「やったらやり返される」関係を作って恐怖で無闇に攻撃できない「強制的な平和関係」を維持するのが核抑止の基本理論だ。

 

核抑止には核保有が必要

さて、先の説明を聞けば分かると思うが、核抑止を確立するには「自分も相手も核兵器保有する」必要がある。

 

相手だけが核を保有しては当然自分が脅される一方で意味がないし、逆に自分だけが核を保有しても相手国に威圧を与えてしまうだけだろう。

 

現在ロシアは大量の核兵器を持っているが、日本は持っていないため、日本とロシアの間に核抑止は成り立っていない。

 

だが日本は同盟国であるアメリカとの日米安全保障条約に基づいた「核の傘」に加わることで核抑止のような状態を作っている。

 

核の傘」とは、もし仮に日本が核攻撃を受けた場合、同盟国のアメリカが「日本のために、核攻撃してきた相手に核攻撃をやります」という約束事である。

仮にロシアが日本に核攻撃をしたら、日本の代わりにアメリカがロシアに仕返しの核攻撃をしてくれるというわけだ。

これによりアメリカを介して「やったらやり返される」状態を作って核抑止と似た状態を成り立たせている。

 

核抑止と"似た"状態と表現したが、それには理由がある。

それは「もしもロシアが日本に核を撃ったとして、アメリカは本当にロシアに仕返しの核を撃ってくれるのだろうか?」という疑念が捨てきれないからだ。

アメリカが日本のために核を撃ったら、間違いなくロシアはさらにその仕返しにアメリカに核を撃ち込むだろうというのは想像に固くない。

 

日本のために、アメリカが被爆するリスクを冒してまでロシアに核を撃ってくれるのか?そんなリスクを冒すメリットは当然アメリカ側にはない。

 

自分から核を撃っても仕返しの核を撃たれる可能性が低いのならば、核抑止の関係にはならないであろう。だから核抑止に似た状態と表現した。

 

安倍ちゃんの「日本も核武装の必要」というのは「日本も仕返しを必ずしてくる」という危機感をロシア側に持たせるために必要という意味である。

決して核戦争がしたくて言ってるわけではない。

 

ただ、現状は核武装せず、前述した核の傘で十分だと岸田総理は判断したようで、日本の核武装議論はされない方向になった。

個人的には妥当なところだと思う。

 

核抑止が人気な理由

まったくの机上の空論ではあるが、この理論が妥当性を持つようになったのには歴史がある。

 

最近のウクライナ侵攻でもたびたびニュースで取り上げられるようになった、1962年の「キューバ危機」だ。

 

キューバ危機とは何か、語弊を恐れずざっくり言ってしまえば

 

  1. アメリカのすぐ近くにキューバという国がある
  2. キューバはロシア(ソ連)と仲が良くなった
  3. ロシアはキューバに核ミサイル基地を作り、アメリカにいつでも核が撃てるようにしていった(キューバの軍事支援の名目上ではある)
  4. これに異を唱えたアメリカとロシアが互いに核兵器をチラつかせながら牽制しあい、いつ核兵器が世界中に放たれてもおかしくない事態に突入した
  5. しかしアメリカもロシアも互いの核兵器によって人類が滅亡するのを恐れ、ギリギリ核戦争が起きる前に話し合いで解決することができた

 

といったものだ。

 

もうあと少しで全世界核戦争に突入しそうになったが、皮肉にもその核兵器に対する恐怖のおかげで核戦争を回避できたという出来事である。

 

このキューバ危機があったことで、核抑止は一定の効果がありそうだと世界的には認識されていくことになる。

もちろん考えるべき点は複数あるが、少なくとも歴史的事実が核抑止の有効性をある程度証明してくれているとは言えるだろう。

 

核抑止が通じないケース

「やったらやり返される」という状態を作ることで武力衝突を回避する核抑止の理論。

 

保有国を相手に自らも核を保有することでどんな場合でも有効になる印象を受ける。

だが、核抑止には「通用しない場合」も考え得る。

 

「やったらやり返される」「今ここで撃てば自分の国も滅ぶ」このようなリスクを踏まえ、核を撃つか撃たないかの判断には冷静に物事を分析し合理的に考える思考力、判断力が必要になる。

 

このような論理力がない指導者の場合はどうなるか?

例えば核の恐ろしさを正しく理解していなかったり、いわゆる「無敵の人」のような「自分の身を滅ぼしてでも社会に打撃を与えたい」と考えるような場合である。

 

前者の場合、核兵器に対して恐怖を感じず、自国の使用も他国が使用することに関しても問題意識を持てずに核抑止関係が崩される「最初の核一発目」を撃ちかねない。

また、後者も自分が滅ぶ覚悟で核を放つのだから、いくら相手が「核をやったらやり返すぞ」と言ったところで聞く耳を持つわけがない。

 

そう、核抑止はやったらやられることを理解する正常な思考力が無ければ途端に成り立たなくなってしまうのだ。

 

プーチンは正常な思考力をもはや持ってないのでは?

長々と説明をしてきたが、私がプーチンに核抑止は通じないと思う理由はなにか。

 

それは前述した核抑止に必要な正常な思考力をプーチンは完全に失っているように思えるからだ。

 

実際プーチンと交流が深いアメリカ、フランスの人達が「今のプーチンは以前のプーチンと別人のようだ」「プーチンの精神状態が懸念される」といった発言をしたことがニュースにもなっていた。

 

というよりもわざわざ親交のある人の発言を引用しなくても、思考に異常をきたしてることは容易に想像することができる。

 

冒頭にも述べたようにプーチンは核抑止部隊に核攻撃をいつでもできるよう指示をした。

この理由は日本を含む欧米諸国が行った経済制裁に対抗して行われたことがプーチンの発言から明らかにされている。

 

あまりにも変ではないだろうか?

キューバ危機の時のアメリカのように

「自分に核が撃たれそうだからこちらも核を撃てるようにする」

というのなら核抑止の道理は通っている。

 

また当時のロシア(ソ連)についても

「敵国全域に対して核を撃てるようにする」

という軍事的な合理性の理由があり、道徳はともかくとして思考回路には納得ができる。

 

だが今回のプーチンの言い分は

経済制裁が不当だから核を撃てるようにする

という内容だ。

 

経済制裁されたから

核を撃てるようにする

前後の文に関係性が全くないのである。

 

経済制裁は商業取引上での制裁であり、核兵器で取引場を破壊し尽くしたとしても意味は全くない。

それどころか周りが核兵器を使う意図など全くない状態なのに核を撃てるようにするということは核の先制攻撃の準備を率先して行なっていることになる。

つまり相手が仕返し核を撃つような理由をわざわざ作りだしているようなものだ。

経済制裁核兵器使用が同じ議論の場に現れることがどれほど奇妙なことか分かるだろう。

 

経済制裁をやるなら核を撃つ」とは

「今日は天気がいいから人を殺す」と言うようなのと同じくらい前後の文脈がめちゃくちゃなのである。

 

前後の文脈が合わないということは、正常な思考力を持っていない証明としては充分だと思う。

 

正常な思考力がない、簡単に言えば頭がボケてしまってる人が核の脅威を理解することは無理だろう。それどころかあらゆる情報を正しく理解することすらも不可能と言わざるを得ない。

 

するとさっき言ったように核に対する正常な恐怖心を持たなくなり、仕返しされるのを考えないで核攻撃をしてしまう可能性が非常に高い。

頭がボケた人に核抑止は有効性を持たないのである。

 

核武装の議論も重要だがもっと重要なこと

それでもまだプーチンに理性が残っていることに望みをかけて、日本が核武装をする必要があるかどうか、これを議論する必要は大いにあると思う。

 

ただそれよりももっとやばすぎることを考えた方がいい。

プーチンが正常な精神状態でなくなってしまっている、あるいは完全にボケてしまっており、勢いと妄想で核攻撃のボタンを押されたら?その後はどうすればいいか?

の議論が早急に必要だと思う。

 

具体的にはPAC3などの核ミサイル迎撃システムがどれだけ有効なのか?

そして日本に核が被弾した場合の国民の動きをどうさせるか?

今こそ被爆した時のマニュアルをもう一度日本国民に配布すべきではないだろうか。

プーチンの核攻撃の対象は経済制裁をした欧米諸国、つまり日本も含まれていても何らは不思議ではない。それどころか完全に頭がボケてしまっているなら後先考えず欧米諸国全部を一斉に核攻撃するなんて展開も考えられるだろう。

 

そしてその場合おそらく来るであろうロシア側の勢力とどう向き合うのか?

 

もはや実際に核攻撃を受けた場合どうするのかを具体的に議論しなくてはならない段階にきていると思われる。

 

我々日本国民もウクライナ侵攻を対岸の火事と思うことなく、自分の国に影響が及んだ場合の行動を今考えておく必要がある。

 

プーチンが前後の文脈が合わないほどの虚言を発言してしまうほど精神に異常をきたしてる可能性が高い今、見境なく核攻撃がなされ、それに日本が巻き込まれる可能性は非常に高いだろう。

 

核抑止は人間の理性を頼りに根付いている理論だ。その有効性もある程度はあるだろう。

 

だが、戦争というものは理性的でない理由で起こされるもの、理性的でない行動が多くあることも歴史的事実である。

あまり考えたくないことだが、理性が外れて核抑止を破られ、日本が攻撃された場合を想定する必要が大いにあると私は思っている。

 

 

「PCR検査が陰性なのに自粛はおかしい」という主張のおかしな点

タイトルの文言、最近になってよく聞かないだろうか?

 

あんまり名指しするのは良くないが、私はダウンタウン松本人志氏が似たようなことを言っていた記事をスマホニュースで見かけたことがあった。

濃厚接触者でも検査が陰性なのに10日間も待機、海外ではそんなことはしない」といった内容だったと記憶している。

松本人志「意味わからん」PCR検査陰性・無症状も濃厚接触で自主隔離、ビートたけし「オミクロン株はただの風邪」政府のコロナ対策に不満爆発の理由(週刊女性PRIME) - Yahoo!ニュース

 

正直、それを言ってしまう気持ちは私もとても理解できる。そんなに怖がってしまえば仕事になんかならないし、第一検査をする意味なんて無いと考えても不思議じゃない。

 

ただこの発言は支離滅裂すぎて自分の中で引っかかってしまう部分がある。それは「PCR検査が陰性なことは外出自粛をしなくて良い理由には全くならない」にも関わらず、あたかもそれが関係しているかのような言い回しをしているからだ。

 

思い出してみればコロナパンデミック初期にはこの事実は世間にとっての常識だったはずだと思うのだが、それがいつの間にか忘れ去られてしまっている。

今一度、PCR検査の概要とその意味について皆さんと一緒に思い出していきたいと思う。

 

目次

 

PCR検査とは

 

前回の記事でも少しだけ語ったが、PCR検査は「特定の遺伝子を増幅せて発見しやすくし、その遺伝子が存在するかを確かめる検査」である。

【コロナ】ワクチンの仕組みを底辺理系が説明する試み【mRNAワクチン】 - santensetのブログ

 

なんだか昨今では「コロナウィルスを見つけ出す最強検査!!」みたいなノリでニュースでやってたり、立憲民主やらの野党が「検査やれよおおおお!!」みたいな怒涛の叫びをしているが、あくまでこれは「遺伝子を特定できる検査」というだけである。

 

つまるところ、PCR検査はウィルスを検査しているのではない。遺伝子が存在するかを検査しているだけであり、しかも増幅なんてしてるところからわかるように定量以下の遺伝子量、つまり一定量以下のウィルスは検出できないのである。

 

PCR検査には一定量以上のウィルスが必要

 

定量以上のウィルスとは具体的にどれくらいなのか?

 

最も確実なのは「感染後、発熱等の症状が発症している時」が確実なPCR検査結果が期待できる。

というのも、発症というのは、ウィルスの場合、ヒトの細胞を利用して自己増殖をし、ウィルス数が爆発的に増えたことで生じるものである。潜伏期間のようなまだ悪さをせずに潜んでいる段階では症状が出ないのはそのためだ。

 

つまり発症段階になればウィルスはたくさん増えた状態なため、確実なPCR検査の結果が期待できるわけである。

 

コロナの潜伏期間

 

発症するまでの潜伏期間、PCR検査をしても実際には感染しているのにウィルス(正確には遺伝子)量が足りなくて陰性の結果が出てしまう「偽陰性」になる確率が大きい

 

ではコロナの潜伏期間はどれくらいだっただろうか、思い出してみてほしい。

 

そう、1〜14日間がコロナウィルスの潜伏期間だ。

早ければ1日後に発症することもあるが、14日後に発症する例も多い。

つまりはコロナに感染しても最大14日後まではPCR検査では陽性判定にならない可能性があるわけだ。

 

PCR検査で保証出来るのは「14日前までだけ」

 

そうなると、PCR検査で陰性というのはコロナに感染していないではなく、「検査日から14日より前の時点で感染は無かった」ということが分かるだけである。

要するに「検査日より14日前以内の感染の有無について確実な判定ができない」のである。

 

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図.PCR陰性だった場合の意味、14日以内に感染していたら検出されない「偽陰性」になる可能性がある

 

もちろん、人によっては発症が早く、1日後でもPCR陽性になる例もあるであろう。だが「最初検査したら陰性だったのに、検査しなおしたら陽性だった」という事例も多いのである。これはよくニュースでも耳にすることであろう。

 

芸能人だって最初はわかっていたはずなのに

 

ニュースでやっていたくらいなのでみんなこういった事例があることはよく知っているだろうし、先にあげた松本人志氏をはじめ、芸能人の人達もコロナ禍初期の頃に知っていたように記憶している。

 

ところが最近になって、すっかり忘れてしまったのか「PCR検査で陰性なのに自粛しろというのはおかしい!」という言い分がたくさん出てきてるのがとても違和感を感じる。ましてや、濃厚接触者に該当した者ならば、先に説明した14日前以内にコロナ患者と接触したパターンが多いだろうし、最初に行ったPCR検査の結果のみで自分は大丈夫だと言い張るのは大きな間違いと言わざるを得ないだろう。

 

気持ちはすごくわかる

 

ただこう言いたくなる気持ちはとてもわかる。

結局濃厚接触者に該当した以上自粛をしなければならなくなるなら、PCR検査など意味を持たないのではないか?

私でもそう考えてしまうことが多い。

 

だが、むしろいったん逆に考えてみてほしい。もしも濃厚接触者でPCR検査で陽性が出た場合どうなるのか?

 

前述したように、PCR陽性になるということは、それだけ体内のウィルス量が増えているということになる。無症状や軽症でも検知されるほどのウィルスがその人の体内にあることになる。

すると当然だが、その人は周りの人をコロナ感染させてしまう状況になっているわけだ。そうなったら最初の感染者と同じように行動履歴を追い、感染爆発が起き得る場所を訪れてないか確認と対応をする必要がある。そうしなければ感染爆発が拡大していき、一気に社会活動・経済活動が停止しかねないし、デルタ株の時のような医療ひっ迫が起きかねないだろう。

 

しかし、PCR検査を行わずにそれを阻止するのであれば、すべての濃厚接触者の行動履歴を追って対応しないとならなくなる。

そんなことしていたらその対応のためだけに多くの人員が割かれ、片っ端から建物を閉鎖するようなものだから社会活動も完全に停止してしまうだろう。

 

だがPCR検査を行い、対象を陽性者のみに絞り込めばそのような事態に陥る可能性は抑えられる。

要するに濃厚接触者に対するPCR検査は「あなたが感染してないかどうかを確かめる」というよりも「もしもあなたが陽性になってた場合、社会の健康を維持するための対応をしなくてはならない」といういわば確認のための作業と言えよう。

 

よって、PCR検査陰性が濃厚接触者という状態を払拭してくれる太鼓判にはなり得ない。そして陰性でも14日以内なら感染してる可能性があるのは先に説明した通りである。

 

芸能人やインフルエンサーは自覚を持って欲しい

 

以上、PCR検査が必ずしも感染有無を保証する検査にはなり得ないことを説明した(というか思い出してもらった)。

 

PCRは元々遺伝子を増幅させる時間を要することから判定まで時間がかかるし、潜伏期間の兼ね合いで14日経たないと確信ができない。そのことは医療関係者も熟知しており、新しい検査方法なども現在開発中のようである。

だが、現状我々が頼りにできる検査はPCR検査法だけだろう。

 

限られた手段ゆえに、間違った認識で運用していくのは非常に危険が伴う

代替手段が今のところほとんどないし、治療薬だって存在しないからだ。

 

それゆえ知識に基づいた慎重な判断が求められるわけだが、それを一番妨害をしているのが先に言った松本人志氏のような「間違った認識でコロナ関係の発言をしてしまう芸能人・インフルエンサー」の人々と言わざるを得ない。

 

彼らは人間性や信念を大事にして発言しているのかもしれないが、間違った知識・認識に基づく信念は危険を運んでくるのみでしかないことをもっと自覚してほしい。

 

芸能人やインフルエンサーの人ならその影響力は絶大だ。「あの人が言うんだから間違いない」と考える人が多数いることを忘れないでほしい。

もしも自分の間違った認識を広めたことで一般人が大量に死亡するようなことがあったとしたら?

そうなってからでは遅いし、言った本人の精神的負担も大きなものになるだろう。

 

最近はオミクロンが重症化しにくいとかもあったりしているが、これだってまだウィルス自体が弱毒化してるのかワクチンの効果のおかげなのかすらはっきり分かっていない。

 

ただ実際には確かに濃厚接触者の自粛期間を短くしていく動きにはなっているが、これはコロナの病原性が落ちたというより、そうしないと社会が維持出来なくなるから仕方なく短くせざるを得ないという認識の方が正しいだろう。このことは厚生労働省の資料から見てとることができる

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000881512.pdf

もはや誰かが死んだとしても社会活動を維持しなければならない地点まで来ているのだ。もちろんオミクロン株の弱毒化可能性やワクチン効果、14日間というのはあくまで最長での潜伏期間であることなどを考慮した上での短縮ではあろうが。

 

私もなんでもかんでも自粛すれば良いとは思わないし、残酷だがある程度見切りをつけなければならないのは事実だと思う。何せ経済活動ができなくて自殺してしまう人だっているのだから。

私の仕事はある種の研究業なのだが、こればかりは実際の場で行う実験がある以上、テレワークで済ませることができない。テレワークを適用できる範囲は職種にも依るので、一概に全てを自粛というのは現実的ではないであろう。

 

さらに深く言うと、実は私も親戚をコロナ後遺症で亡くしている。コロナにはとてつもない怒りを感じてすらいる。

その私ですら見切りをつけなければならないかもしれないと言ってしまうくらいなのだからコロナによってまだまだ人類は追い込まれている最中だと言えるだろう。

 

だからこそ

芸能人、インフルエンサーの方はご自身のコロナ観についての発言を慎重に考えてほしいものである。

底辺理系出身一般ピーポーのささやかな願いだ。

【コロナ】ワクチンの仕組みを底辺理系が説明する試み【mRNAワクチン】

最近、コロナワクチンのデマ情報が本気で信じられつつある。

5G接続するやら、腕が磁力を帯びるやら、ゾンビになるだとか言いたい放題でむしろ楽しそうだし、ぶっちゃけ悪ノリしたい気持ちにもなってくる。

ただ、そんな妄想情報で必要のない心配が出てきてしまうのは良くないことだと思う。

 

今回はこのような頭おバカすぎるデマ情報に流されないために、頭がおバカすぎる底辺理系出身の私が自分なりにコロナワクチンのしくみを説明してみたい。

「そんな難しい話理解できない!」という人も安心してほしい。私はおバカすぎて多分今これを読んでいる読者様方よりも理解力がないので、めちゃくちゃ簡単にかみ砕いて理解した説明しかできない。なんか、子供がワイワイ騒いでるな程度のノリで聞いてほしい。

 

私がどのくらいバカかというと、底辺高校卒業。底辺大学・大学院で化学を専攻した者で医学はおろか生物すら専門ではない。

たまに「分数の割り算ってどっちを上下逆にすんだっけ?」ってなるレベルである。

すげぇや、数学どころか算数も怪しいぞ。

 

なお、めちゃくそ面倒くさいので出典とかは書かない。そのうち編集で後付けするかもしれないけど、どうせほぼwikipedia出典になるだろうし…

 

 

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ワクチンは抗体を作る

皆さんはなんかこう、ニュースかなにかでよく見せられるコロナウィルスのイメージ図を覚えているだろうか。

ボールにトゲトゲがついたウニみたいな形をしている。

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こんな感じのやつ(いらすとや:コロナウィルス)

このトゲトゲがたまにニュースで聞く「スパイクタンパク質」とかいうやつで、ウィルスが人間の細胞にくっつくためにウィルス表面を覆っているトゲだ。

 

そんなトゲだけに痛い存在なわけだが、私たちの免疫もこの「スパイクタンパク質」を利用して身を守っている。「抗体」と呼ばれるものを生成してスパイクタンパク質のトゲを封印し、「こいつ敵ですよー!」と免疫細胞に伝えて一緒に食べてもらうのだ。

 

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免疫が働くしくみ(作画:私)

ワクチンはこの時の「抗体」を体に作らせることでウィルスに対する免疫力をゲットできるものだ(実際のmRNAワクチンは免疫細胞自体にもコロナウィルスへの反応性を高める作用もあるらしいがよく知らんので今回は説明しない)。

 

 

どうやって抗体を作るの?

んじゃ、どうやって抗体を作るんや?って話になるわけだが、一般的なワクチンは毒性を弱めたり死なせて毒性を無くしたウィルスやトゲ(スパイクタンパク質)の部分だけを注射で入れて、体に抗体を作らせる。

つまりウィルスそのものや一部を体に入れて、それに合った抗体を体に作らせるのだ。

トゲの形はウィルスの種類や型によって異なり、それぞれ形にあった抗体を作る必要がある。私たちの体はその形が合った抗体を作り出すしくみを持っているのである。

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形に合った抗体が必要。雑やな私の絵(作画:私)

抗体を新しく獲得するにはだいたい2週間くらい時間がかかるので、ウィルスに感染した時は2週間は体はノーガード状態である。だが、一度抗体が作られれば次に同じ敵(ウィルス)が来たときに備えてしばらくの間、体の中で同じ抗体が作られ続ける

これを利用してあらかじめウィルスの一部を入れて抗体を作らせておこうというのが一般的なワクチンの仕組みである。

 

 

mRNAワクチンってなんなん?

じゃ、コロナワクチンの今までと違うところってなんなん?ってなるわけだが

コロナワクチンはこのウィルスの一部(トゲ)を注射するのではなく、「人間の体にトゲの部分を作らせる」方法を取っていることである。

そのトゲを作らせる成分がmRNAと呼ばれている、遺伝子の一種だ。

トゲを作らせる遺伝子を注射し、私たちの細胞にトゲだけを作らせて、さっき説明した抗体を作ってもらう仕組みである

トゲはあるものの、それを作っているのはヒトの細胞なのでウィルスのような毒性はない。しかしトゲ自体は敵と認識されるので免疫機構が働いて抗体が作られるわけである。

 

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ウィルス自体を入れないで済むというメリットがある(作画:私)

ほかに、mRNAワクチンは素早く大量生産できるというメリットがある。通常のワクチンはウィルスの不活化やトゲであるスパイクタンパク質を作るところまでをやらなくてはならないので時間がかかってしまうが、特定の遺伝子を複製することは結構簡単にできる。実際、遺伝子を複製して検出しやすくしてウィルスに感染しているか調べる方法がかの有名なPCR検査だ。このスピード性は今回のような世界的なパンデミックにはかなり適しているといえる。

デメリットはmRNAは体内でもすぐに分解されてしまうほど不安定なため低温下で保存し続ける必要があるファイザーがあんな冷凍庫に保管しなきゃいけないのはそういった理由である。モデルナワクチンも冷蔵は必要だがファイザーワクチンよりは低温でなくて済むため、扱いやすいようである。

また、どうしても無毒化したウィルスそのものを入れるよりは十分な抗体を獲得できない。それを補うのは2回接種といった複数回接種である。繰り返し接種することで同じ反応をさせ、抗体をさらにブーストさせて作らせ、確実な免疫獲得を実現するわけである。

 

 

ワクチンで遺伝子が書き換えられるって本当?

先ほどの「遺伝子を注射する」という説明を根拠に「ワクチンを注射するとウィルスの遺伝子に書き換えられる」といった噂が流れていたが、それはほぼありえない。

というのも、私たちの体がどう作られるかを記しているDNAとは違いmRNAはDNAの情報を元にタンパク質を作るための翻訳機」という役割しか持っていないことである。

DNAが人間の体を作るための「設計図」だとすれば、mRNAは実際に体を作る「人」と考えるといい。

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設計図やマニュアルを覚えた人って考えたほうがいいかも(作画:私)

mRNA(人)はDNA(設計図やマニュアル)を記憶(正確には複製)したものである。だからDNAを元にmRNAが作られることはあってもmRNAを元にDNAが書き換えられることはないDNAはあくまでこうやって作ってくださいという「見本」でしかなく、mRNAは「見本」を元に「製造をする」だけである。そのmRNAもDNAの設計図通りのタンパク質を作ったあとは速やかに分解される。先に言ったようにmRNAはそれだけ不安定な物質なわけである。

 

コロナのmRNAワクチンはこの「人」が「コロナウィルスのトゲの設計図を覚えた人」を注射して体内に入れるのである。トゲを作るだけ作ったらその「人」は消滅し、残るのはトゲだけである。

 

副作用ってなんなん?

そんで、気になるのは発熱や倦怠感といった副作用だ。この副作用ってなんやねん?って疑問も多いだろう。

 

ただこれら副作用は当然な反応といえる。一連のワクチンは体に免疫反応をわざと誘発させて抗体を獲得しているわけだから「発熱や倦怠感のような免疫反応の症状は出る」のが普通なのである。発熱はウィルスの動きを鈍らせるための反応だし、倦怠感は体が免疫反応でがんばっているから倦怠感が出てくるわけである(トゲしかないからウィルスはいないんだけどさ)。

 

だから副作用が出てくること自体は疑問はないのだが、一方で個人的にはなぜ発熱が38~9度と高熱だったり、接種者の7割以上が発熱するといった頻発性があるのかが疑問だ。もっとも流通している通常ワクチンは研究がかなり進んでいるのでそういった副作用を抑える機構が入っているとかかもしれないが…

また、注射部位が腫れるモデルナアームといった副作用もどういった理由で起きているのか私が調べたかぎりではよくわからなかった。こういった症状はワクチン全般でみられるものなのか、コロナワクチン特有のものなのか、その場合どの成分や機構が要因となっているかを知りたいところである。

 

 

変異型の怖さ

さっきからトゲトゲうるさくて申し訳ないが、実際このトゲが重要なのである。

変異型なんかが出たときの問題はまさしくこのトゲが心配要素で、あまりにもトゲの形が変わりすぎると抗体と形が合わなくなってしまう可能性がある。そうなるとワクチンが効かないコロナウィルスが出てくる可能性も捨てきれないのである。

ただし、実際には多少形が変わったくらいでもまぁまぁ対応できるもので、ワクチンが全くの無駄になるかというとそうでもない。

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似たような形なら旧型の抗体でも対応ができる(作画:私)

もちろん、完全に形が一致するよりは少し効力は落ちてしまうが、例えば重症化するほどの悪化は十分防げると考えられている。なのでワクチンを接種しておくに越したことはないと個人的には思う。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?(ばりばり定型文)

ただ、このブログはあくまでおバカがおバカなりにワクチンを説明してみることで「ワクチンのデマ情報に振り回される人を減らすため」に書いたもので「ワクチン接種の選択の自由はあるべき」だと強く協調しておく。

新型コロナワクチンにはこれまでワクチンとは違う新しい成分も使われているようで(成分表を見る限りそこまで危険なものはないと私は思うが)、未知な部分があることも事実である。

また、アレルギーや先端恐怖症といったものでワクチンを打ちたくても打てない人がいることも忘れてはならない。

 

このおバカのおバカな説明でデマ情報に流される人が少しでも減り、打つ人打たない人が互いに尊重しあえる世の中が実現できればいいなと願っている。